きっかけ
40歳を超え、時間の貴重さについて以前よりも真剣に向き合うようになりました。いかにして自分の時間を確保するか、そして「今この時」をどう過ごすか。そうした問いが、生活の中で自然と前に出てくるフェーズに入ったように感じています。
YouTubeをはじめとする動画配信サービスには、優れたクリエイターが多く、学びや娯楽として非常に価値の高いコンテンツがそろっています。実際、目的をもって使えば、豊かで楽しい時間を過ごすことができます。
一方で、動画視聴は本質的に受動的な行為でもあります。特に、明確な目的をもたないままアクセスすると、気づかないうちに時間が過ぎてしまうことがあります。
「見てはいけない」という話ではありませんが、無自覚に時間を消費してしまう構造については、以前から気になっていました。
そこで今回は、そもそも動画サイトに触れられない状態を作る、という方法を試してみることにしました。
これまでに試したこと
いきなりブロックホスト化にたどり着いたわけではありません。まずは、ブラウザ拡張機能による時間制限やアクセス制御も試しました。
しかし、私が試した範囲では、
- 制限時間の延長が容易
- 「今だけ解除する」という選択肢が常に表示される
といった特徴がありました。
結果として、動画を見るかどうかの判断を、その都度自分に返してしまう構造が残りました。これでは、意志の力に頼る場面は減らず、思っていたほどの効果は得られませんでした。
今回重視したかったのは、「我慢すること」ではなく、判断そのものを発生させないことでした。
実現方法
そこで選んだのが、hostsファイルを利用したブロック、すなわちブロックホスト化、です。技術的な詳細については、ChatGPTやGeminiなどのAIに聞けば簡単に調べられますので割愛します。
例えば、Windows環境では、管理者権限で以下のファイルを編集します。
%SystemRoot%\System32\drivers\etc\hosts
ここに、次のような記述を追加します。
127.0.0.1 www.youtube.com
これにより、PCからYouTubeへのアクセスができなくなります。同様の記述を追加すれば、他の動画サイトや注意を奪いやすいサイトもまとめてブロックできます。
さらに、hostsファイルを上書きするbatファイルを作成し、それをタスクスケジューラに登録すれば、起動時や定時に自動反映させることも可能です。
この方法のポイントは、元に戻すには、それなりの手間がかかるという点にあります。
変わったこと
実際に運用してみると、YouTubeの利用時間は明らかに減りました。PCを起動した直後に、特に目的もなく動画サイトへ流れてしまう、という行動が起きなくなりました。
その結果として感じたのは、時間そのものが増えたことに加えて、時間を浪費してしまったという自責の念がなくなったという変化でした。以前は、「また見てしまった」、「結局ダラダラしてしまった」といった感覚が、後からボディーブローのように残ることがありました。
YouTube等をブロックしたことで、そうした後悔や自己嫌悪が生じにくくなりました。気づいてみると、自分の時間の使い方に対する納得感が増していたように思います。
結果として、生活態度全般に対する自己肯定感が、少しだけ底上げされた感覚があります。これは、時間管理そのものよりも、私にとって大きな変化でした。
余暇の質の変化
以前は、「ながら見」の対象が、テレビからYouTubeに置き換わっただけだったようにも思います。YouTubeをシャットオフしたことで、余暇の時間が生まれました。
その時間に特別なことをしているわけではありません。本を読んだり、考え事をしたり、ただぼんやり過ごしたりすることもあります。
ただ、以前よりも、「この時間をどう使ってしまったのか」と振り返る頻度は下がり、落ち着いた気持ちで一日を終えられるようになった気がします。
今のところ、「今この時間をどう過ごすか」という、私自身の関心という観点では、今回の試みは一定の成果を上げたと言えそうです。
補足として
この方法は、正直に言ってラディカルです。誰にでも進められる方法だとは思っていません。
ただ、
- 短時間で集中したいテーマがある方
- 時間の使い方に強い問題意識を感じている方
- 自制心ではなく、環境の設計で調整したい方
こうした条件に当てはまる方には、一つの選択肢になるかもしれません。
私自身としては、「アクセスしないように努力する」よりも、「そもそも触れられないようにしておく」方が、ずっと負荷の少ない方法だと感じています。
終わりに
この内容は、生産性を上げるためでも、何かを達成するためでもありません。自分の時間の使い方に対して、余計な後悔や自己否定を生まない状態を、どう設計できるか試しているだけです。
個人的にはこの方法は気に入っているものの、生活の潤いとして重要なエンタメ要素が削られるので、少しやりすぎだとは感じています。この環境をしばらく続けてみて、また何か変化があれば、その時の感覚を記録として残しておこうと思います。