この記事は製品レビューというより、注意資源を守るためにスマホを「仮想的にDumb Phone化」するまでの体験談です。その過程で、特に効果を感じた道具の一つがe-inkの白黒画面表示のBigme HiBreak Proでした。購入したのは2025年9月頃になります。
結論から言うと、HiBreak Proは スマホを「娯楽」から「道具」に戻すための端末でした。白黒のe-inkが刺激を削り、さらに ブラウザ排除とOlauncher 等を組み合わせることで、注意資源が驚くほど守られる感覚がありました。
スマホに「使われている」感覚
スマホを長く利用してきました。最近の私の問題意識は、注意資源が枯渇していく感覚に収束していきました。
スマホを触っているだけで、気づけば時間が溶けていることがあります。必要な連絡や調べもののために手に取ったはずなのに、いつの間にか別のアプリ、別の情報、別の刺激へと流されてしまう。
そして、その流れは、自分の意思よりも「スマホ側の設計」によって強く駆動されているように感じました。私はこの状態に、次第に強い精神的な拒否感を覚えるようになりました。
自分が触っているようで、実際には“触らされている”感覚が残ります。
Dumb Phoneの限界
注意資源を奪われない選択肢として、いわゆるDumb Phoneの利用もしていた時期もあります。Dumb Phoneとは、通話や最低限の通信に用途を絞り、アプリ利用やブラウジングを前提にしない端末の総称です。
実際には、Punkt.のMP02を使っていました。MP02はスマートフォン的な体験を意図的に排した思想を持っていて、静かな時間を取り戻すという点では非常によくできた端末でした。
執筆時点の日本国内ではLINEが事実上の必須通信アプリになっています。生活や人間関係を維持するうえで、LINEを完全に切り離すことは現実的ではありませんでした。その結果、私は再びスマホを使わざるを得ない状況に戻りました。
ちょうどその頃、Dumb Phoneの代表格であるLight Phone Ⅲが購入できるようになり、一度は本気で迷いました。ただ、やはりLINEが使えないことが決定打になり、見送ることになりました。
小手先の対策では勝てなかった
Androidスマホを使いながら、タイムロックコンテナーを試したこともあります。また、画面表示を白黒に切り替えるといった、よく知られた対策も実践しました。色による刺激が減ることで、動画やSNSへの依存が下がる効果は、確かにありました。
ただし致命的な問題がありました。いつでも元に戻せてしまうという点です。
一時的に戻すつもりが、気づけば恒常的にカラー表示へ戻っている。こうしたことが何度も起きました。意志の力に依存した仕組みでは、結局負けてしまうのだと感じました。
ハードウェアから見直すしかない
そこで私は、対策の方向性を変えました。アプリや設定ではなく、ハードウェアそのものから見直すという方向です。
その結論として選んだのがBigme HiBreak Proでした。正直なところ、購入前はこのメーカーをよく知りませんでしたし、白黒表示だけで本当に問題ないのかという不安もありました。それでも、抜本的に改めるためにはここしかないと思い、購入に至りました。
HiBreak Proを使った感想
実際に使ってみると、ハードウェアとしての完成度は悪くありませんでした。e-ink特有の残像はありますが、リフレッシュできるので慣れれば気になりません。
良い点として、画面が少し大きめな点があります。白黒のe-ink端末なのでそもそも文字を読みやすいですが、表示領域が広いので快適です。
そして何より大きいのは、スマホ利用の抑制となる点です。白黒表示であることで動画を見る頻度は明確に減り、その分、文章に向き合う時間が増えました。無意識のうちに情報消費へ流される感覚が、かなり弱まりました。
気になる点として、良い点の裏返しですがサイズがやや大きい点と少し重量がある点があります。最初は気になりましたが、両方ともクリティカルではありません。
スマホのDumb Phone化
現在の私の環境は、端末としてはスマートフォンですが、運用としては仮想的にDumb Phone化したものと言えると思います。下記の①~④で実現しています。どれか一つでも効果はあると思います。
① ブラウザ削除(情報を“入口”から断つ)
具体的には、スマホからインターネットブラウザを強制的にアンインストールしています。デフォルトブラウザであるChromeも含めて削除し、インターネット閲覧ができない状態にしています。
② 必須アプリ以外の削除(管理の総量を減らす)
アプリについては便利なだけのアプリもすべて削除し、必須なものだけを残しています。それ以外のインストール済のアプリの一例はこちらに記載しています。便利かどうかという観点ではなく、必須かどうかという観点で選んでいます。その他のアプリは「使うときにインストールして、使い終えたら削除する」という運用です。
③ Olauncher(ホーム画面を“文字だけ”にする)
Androidのホーム画面を司るLauncherをOlauncherへ切り替えます。視覚的な情報が極端に減り、ホーム画面から注意を奪われることがほぼなくなりました。インストール済のアプリであっても非表示にできるので、無意識の起動を抑制できます。
私が執筆時点でホーム画面に表示させているのは次の2つだけです。
- ChatGPT:対話形式で情報の流れが一本化され、注意資源を奪いにくいと感じているからです。調べものであったり対話を通じた頭の整理もできるので、私にとっては積極的に残す価値のあるアプリです。
- Apple Music:過去にはSpotifyも使っていましたが、音楽とPodcastが分離できず、長時間の「聴き流し」が発生しやすく、注意資源の観点から使うのを止めています。Apple Musicはこの問題がないので選びました。
下の写真が実際の端末の写真です。右の写真の通り、アプリの表示はテキストベースになります。ChatGPT→ai、Apple Music→musicのように表示名を変更できるので、固有名詞からのノイズも減らせます。ちなみに、左の写真はロック画面です。

④ LINEやメールはPC中心(“注意を奪わぬ道具”にする)
LINEはスマホ側では非表示にして、基本的にPCで利用するようにしています。人と会う可能性がある日だけ、スマホ側の表示を有効にする運用です。メールについても、急ぎの連絡はほとんどないためPCで確認しています。
正直なところ、ここまでやる必要がない人がほとんどだと思います。ただ、私の場合はこれくらい極端にしないと、注意資源を守ることができませんでした。
おわりに
今では、枕元にスマホを置いても気になりません。以前のように、通知や刺激に引っ張られて落ち着かないことが減り、スマホは再び静かな存在、つまり再び「道具」になったと感じています。
注意資源に対する問題意識は人それぞれだと思います。私ほど極端に振り切る必要はないかもしれませんが、「スマホに時間を吸われている」と感じている方は少なくないはずです。
私の場合、Dumb Phoneそのものではなく、スマートフォンを仮想的にDumb Phone化するという選択が、現実と折り合いをつけた解でした。引き続き試行錯誤は続くと思いますが、今のところは良い方向へ進んでいます。
端末を変えるだけでも一定の効果はありますが、私の経験では「ブラウザ排除」と「Launcherの変更」を組み合わせることで、効果は一段強くなりました。すべてを真似する必要はありませんが、取り入れられる部分から試してみるのは十分に価値があると思います。
向いている人:
- 無意識にSNSや動画を開いてしまい、時間が溶ける感覚がある方
- LINEなど最低限の連絡手段は必要だが、それ以外の情報摂取を減らしたい方
- 意志の力ではなく、環境や仕組みで注意資源を守りたい方
向かない人:
- カラー表示を前提とした作業をスマホで行う方
- 反応速度やリッチなUIを重視する方
- 生活のあらゆる機能をスマホ1台に集約している方
注意点:
- e-ink特有の残像があり、表示のキレは液晶スマホに劣ります
- 動画視聴や高速なUI操作には向きません
- サイズがやや大きめで、少し重たいと感じる可能性があります
- 「注意資源を守るための道具」として割り切れる人向けの端末です
1件のコメント