ポメラ(pomera)は、文章を書くことに特化したデジタルメモです。この中にはインターネットもSNSもありません。目の前に残るのは、自分が書いた文章だけです。余計なことができない代わりに、書くことへの集中が続きやすい。私はこのできることの少なさに惹かれています。
中学生の頃、親に買ってもらった電子手帳を思い出しました。予定を入れたり、メモを書いたり、辞書を引いたり。今思えば、あれも自分の頭を整理するための道具でした。ポメラはそこまで多機能ではありませんが、「書く」、「考える」という一点に寄せた設計は、あのころの延長線上にも感じられます。昔から存在する機能ばかりなのに、逆にその機能に特化した端末が今の時代は少ないと思います。その潔さが、今の自分には心地よく感じます。

使い始めたきっかけ
私が最初にポメラを買ったのは2016年2月で、機種はDM100でした。当時は「デジタルデトックス」という言葉を知らなかったのですが、今振り返ると確実に同じ方向を向いていたと思います。
PCやスマホは便利ですが、その便利さには常に寄り道が付きまといます。文章を書こうと思って開いたのに、検索をして、別のページへ流れて、気付けば時間だけが過ぎています。自分の注意がいつの間にか持っていかれる感覚がありました。だから、私は意志の力で我慢するのではなく、最初から寄り道を起こしにくい環境が作りたかったのだと思います。
もう一つきっかけとして大きかったのは、携帯性とキーボードです。鞄に入れて持ち出せて、どこでもタイピングして文章が書けます。ノートPCほど大げさではない、このサイズ感がちょうどよく、「外に出て、文章を書く」という行為が生活の中で成立するようになりました。
その後、2024年5月にDM250を購入しました。DM100の良さを残しながら、今の生活により馴染む形にアップデートされた印象です。
使い始めて分かったこと
ポメラを使って改めて分かったのは、集中できるかどうかは結局「意志」ではなく「環境」の影響が大きいということです。ポメラにはインターネットがなく、できることが少ない。だからこそ文章に向かうまでの抵抗が小さく、一旦書き始めると深く入り込んでいけます。PCのように複数の情報を同時に処理するようになっていない分、一つのテーマに集中しやすいです。思考が散らからず、頭の中の曖昧なものを文字に変えていく時間を続けられます。
私にとってポメラは、文章を書く道具というより「頭の中を整える装置」です。まだ言語化できていないことを、ひたすら打って、並べて、削って、また書き直す。この作業は不思議と気持ちが良く、ある種の瞑想に近い感覚があります。目の前の文章だけに集中していると、余計なノイズが消えていきます。
キーボードは一般的なフルサイズより一回り小さいですが、慣れると気にならないです。鞄に収まるサイズ感と相まって、外で文章を書くという行為が気軽に現実的になります。
一方で、配列は日本語(JIS)が前提なので、英字配列に慣れている人は違和感が出るかもしれません。設定で英字配列に寄せることはできますが、キーの印字自体はJISのままです。付属のシールで印字を上書きすれば、見た目の違和感はかなり減ると思います。
また、画面が光沢のため、環境によって反射が気になることがあります。私は反射防止フィルムを買って落ち着きました。この点は個人差があると思いますが、集中のために買う道具である以上、気になる人は対策した方が良いと思います。
DM250はUSB-C充電なので、スマホやPCの充電器と共用できる点も助かっています。外へ持ち出すことを前提にすると、充電が楽なことは地味に効いてきます。なお、電池の持ちは良く、少なくとも私の使い方では一日で困ることはありませんでした。
正直に言うと、ポメラをほとんど触らなかった時期もあります。ただ、ふと戻ってきて頭の中を整理する用途だけでも十分に価値があると思います。何かを始めたい時、考えが散らかっている時、未来の計画を文字に起こして次の一手を見つけたい時、ポメラはそういう局面で効いてきます。
これからも私は、ポメラを「文章を書く道具」ではなく、「頭の中を整える装置」として使い続けると思います。
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